19建築|中国・広島

2025年12月13日 (土)

街と響き合うポポロ 三原市芸術文化センター

街と響き合うポポロ 三原市芸術文化センター

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広島県三原市にある三原市芸術文化センターポポロを訪れました。

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設計を手がけたのは槇文彦さん。

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街の中心に位置するこの文化施設は、
地域の人々が集い、芸術と暮らしが自然に交わる場所として設計されています。

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訪れた瞬間、まず感じるのは、公共建築でありながらどこか温かく、
街に溶け込むような親しみやすさです。

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建物の外観は、コンクリートやガラス、木材など多様な素材をバランスよく組み合わせ、
重厚感と軽やかさを同時に感じさせます。

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槇さんはこの建物で「街と施設との対話」を意識しており、
正面の広場や周囲の緑地とのつながりがとても自然です。

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街を歩く人の目線や通り抜ける風、光の入り方を丁寧に考えた設計が随所に見られ、
単なる鑑賞の対象ではなく、日常の中で親しめる建築になっています。

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館内に入ると、広々としたホールや展示空間がゆるやかにつながり、
自然光が差し込む大きな窓や吹き抜け空間が目を引きます。

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槇さんは光の取り入れ方に独自の工夫を施し、
時間帯や季節によって空間の表情が微妙に変わるよう設計しています。

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そのおかげで、訪れるたびに新しい発見があり、
建物が静かに呼吸しているような感覚を受けました。

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また、公共施設としての機能性も非常に考えられており、
観客や利用者の動線、移動のしやすさ、
休憩や交流の場としての居心地の良さが細部にまで行き届いています。

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槇さんのデザインは、機能性と美しさ、そして地域性を一体にした
「公共建築の理想形」を体現しており、単に展示や公演を楽しむだけでなく、
建物そのものを感じながら過ごすことができます。

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三原市芸術文化センターポポロは、槇文彦さんの思想が詰まった空間です。

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街の生活と芸術をつなぎ、人々の記憶に残る建築として存在感を放っています。

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訪れるたびに、建築が日常と芸術の間に静かに橋を架けていることを実感できる、
そんな魅力にあふれた施設でした。

2025.11.24
三原市 三原市芸術文化センターポポロ

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2025年12月12日 (金)

風景の中に置かれた、美術館という時間 下瀬美術館

風景の中に置かれた、美術館という時間 下瀬美術館

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瀬戸内海に沿って車を走らせていると、風景の中にふいに現れる下瀬美術館

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海と陸の境界に置かれたこの建築は、
まずその佇まいから、従来の美術館とは少し異なる気配を放っている。

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坂茂がここで選んだのは、「展示室を固定しない」という大胆な構えだった。

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可動展示室と名付けられたカラフルな箱型の空間が、
水盤の上に点在し、必要に応じて配置を変えることができる。

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美術館という制度的で静的な存在を、
環境や使われ方に応じて変化するものとして捉え直す、
その思想が空間全体に貫かれている。

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敷地に足を踏み入れると、まず意識させられるのは水と光だ。

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水盤に映る空と建築、刻々と変わる光の反射が、建物の輪郭をやわらかく揺らす。

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展示室を巡る前から、すでに風景そのものが一つの体験となっている。

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坂茂の建築に通底する「軽やかさ」は、
ここでは視覚的な浮遊感として現れているように感じられた。

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展示空間は決して閉じられておらず、移動の合間に外の景色が自然と視界に入り込む。

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作品と向き合う時間と、風景に意識を預ける時間とが、
はっきりと分けられることなく交互に訪れる。

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そのリズムが、鑑賞体験をどこか穏やかなものにしている。

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印象的だったのは、美術館全体に漂う「構えすぎなさ」だ。

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世界的な建築家による美術館でありながら、
威圧感はなく、むしろ人の歩幅に合わせて空間が組み立てられている。

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構造や仕組みは明快だが、それを誇示することはない。

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坂茂さんらしい誠実さが、細部にまで滲んでいる。

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また、建築が風景を切り取るというよりも、
風景の中に身を置く感覚を大切にしている点も印象に残った。

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視線は常に内外を行き来し、建築と自然のどちらか一方に意識が固定されることがない。

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その曖昧さが、ここで過ごす時間をより豊かなものにしている。

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下瀬美術館は、作品を見せるための器であると同時に、
風景の中で過ごす時間そのものを展示する場所でもある。

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建築が主張しすぎることなく、環境や人の動きを受け止めながら、静かに体験を導いていく。

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その在り方は、これからの美術館の一つの姿を、穏やかに示しているように思えた。

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広島 下瀬美術館

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2025年12月11日 (木)

光と静けさの工場 広島市環境局中工場

光と静けさの工場 広島市環境局中工場

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広島市の街中にある、谷口吉生さん設計の環境局中工場を訪れました。

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一般的には「工場」というと無機質で硬いイメージがありますが、
谷口さんの手がけるこの建物は、機能性と美しさが静かに調和する空間として設計されています。

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訪れるとまず感じるのは、工場という枠を超えた落ち着きと穏やかさです。

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建物の外観はコンクリートを基調にしつつも、
柔らかな光を取り入れるための工夫が随所に施されています。

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谷口さんは、光の扱いを非常に大切にしており、
昼間の自然光が内部に柔らかく差し込むよう計算された窓配置や吹き抜け空間が特徴です。

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その光の演出が、日常的な工場作業の場を、人々の目にも優しい空間へと変えています。

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館内を案内してもらうと、作業効率を考えたレイアウトや動線の中にも、
視覚的に心地よいリズムが感じられます。

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単なる機能性に偏らず、働く人の目線や心地よさまで配慮されていることが伝わってきます。

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谷口さんが設計で目指したのは
「公共施設としての透明性」と「建築としての落ち着き」の両立。

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周囲の街並みや周辺環境ともうまく調和するよう、
外部からの視線や光の取り入れ方にも細やかな工夫が見られます。

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また、建物の素材感や細部のディテールも印象的でした。

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コンクリートの素地を活かした壁面や、光の陰影が作る空間の奥行き、
金属やガラスの質感の組み合わせが、工場という日常的な施設に特別な存在感を与えています。

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日々使われる施設でありながら、
建築として鑑賞に値する落ち着きがあるのは谷口さんならではの設計手法です。

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中工場の見学を通して感じたのは、
建築が持つ「公共性」と「美の両立」の力です。

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単なる機能施設に留まらず、
人々の生活や街並みに寄り添う建築としての価値を実感しました。

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工場の光と影、素材感、そして谷口吉生さんの設計思想が静かに響く空間は、
広島の街にまたひとつ、深く印象的な建築の風景を刻んでいます。

2025.11.23
広島 環境局中工場

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2025年12月10日 (水)

折り鶴に包まれて おりづるタワー

折り鶴に包まれて おりづるタワー

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広島の街中にそっと佇む「おりづるタワー」は、その名の通り折り鶴をモチーフにした建築です。

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設計を手がけたのは建築家の三分一博志さん。

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訪れる人々を優しく迎え入れるこの建物は、単なる展望施設ではなく、
平和への願いと街の歴史を静かに伝える場所として設計されています。

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タワーの外観は透明感のあるガラスと柔らかな曲線で構成され、
光を取り込みながら街並みに溶け込むような印象を与えます。

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館内に入ると、透明な吹き抜けの空間が広がり、自然光が柔らかく差し込みます。

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展望デッキへ続くエスカレーターから見えるのは、広島の街と穏やかに流れる元安川。

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ガラス越しに街を眺めながら上る体験は、単なる景観の楽しみ以上に、
時間や空気の流れをゆっくり感じさせてくれます。

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三分一さんの設計コンセプトである「記憶と未来をつなぐ場所」が、
こうした光や空間の演出からも自然に伝わってきます。

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さらに、タワーの内部では実際に折り鶴を折って展示できるコーナーもあり、
訪問者自身が「平和の祈り」に参加できる体験が用意されています。

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この小さな行為が建物の大きなテーマと自然につながるのも、この建築の面白いところです。

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おりづるタワーは、ただの観光スポットではなく、
三分一博志さんの平和への思いと人々の記憶を優しく包み込む建築。

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街の景色を楽しむだけでなく、心静かに立ち止まり、
折り鶴のようにそっと願いをかける時間を与えてくれる場所です。

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訪れるたびに新しい発見と感動があり、
広島の街をより深く感じられる、そんな建築だと感じました。

2025.11.23
広島 おりづるタワー

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2025年12月 8日 (月)

鳥取・島根建築巡りの余韻 世界こどもミュージアム

鳥取・島根建築巡りの余韻 世界こどもミュージアム

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山並みに溶け込むように現れる世界こどもミュージアム。

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高松伸さんが手がけたこの建築は、「こどものための建築」という一見やさしいテーマを、
強い建築的意志をもってかたちにしているように感じられる。

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外観は幾何学的で、どこか要塞のような重厚さがある。
一方で、その硬質な輪郭とは対照的に、内部には光とスケールの変化に満ちた空間が連なっている。

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低く抑えられた天井から、ふいに開ける吹き抜けへ。

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狭さと広がりを繰り返す構成は、こどもの身体感覚に寄り添いながら、
自然と探検する気持ちを引き出しているようだった。

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高松伸さんの建築には、「象徴性」と「身体性」が同時に存在している。

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世界こどもミュージアムでも、建築は単なる背景にはならず、触れ、登り、回り込み、
時には迷う対象として立ち現れる。

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展示を見るというより、空間そのものと関わる体験が中心にある。

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光の扱いも印象深い。
外光は直接的に取り込まれるのではなく、壁や天井に反射しながら、やわらかく内部へと導かれる。

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そのため空間には常に陰影があり、時間帯によって表情が変わっていく。
こどもたちはその変化を感覚的に受け取り、大人はそこに建築の意図を重ねて読む。

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かわいらしさや分かりやすさよりも、強い構成と明確な秩序が貫かれている。
その緊張感があるからこそ、空間は記憶に残り、何度も訪れたくなるのかもしれない。

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建築という「かたちある思想」を通して、感覚と想像力を静かに刺激する場所。
高松伸さんの建築が持つ厳しさとやさしさが、ここでは無理なく共存しているように思えた。

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今回の鳥取・島根建築巡りの最後に、この場所を訪れたことも印象深い。
高松伸さんの建築の輪郭が、ここでひとつ静かに結ばれ、旅の記憶として心に残った。

2025.12.08-09
鳥取・島根建築巡り

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2025年12月 7日 (日)

山陰の風土と建築 高松伸さんのサンドミュージアムとミルキーウェイ

山陰の風土の中で、建築家高松伸さんの建築は、はっきりとした輪郭を保ちながら、
土地と静かに向き合っているように感じられる。

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仁摩のサンドミュージアムと、江津市総合市民センター〈ミルキーウェイ〉。

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性格の異なる二つの建築だが、どちらにも高松さんらしさが素直に表れているように感じた。

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サンドミュージアムは、砂というはかない素材をテーマにしながら、建築そのものはとても力強い。

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厚みのある壁と抑えられた開口、幾何学的な空間構成の中で、光と影の変化が印象に残る。

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展示を見るというより、空間を歩き、立ち止まり、建築そのものを味わう時間が心に残った。

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世界各地の砂や、砂時計の展示は、素材の多様さと時間の概念を静かに伝えてくる。

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けやきの紅葉の時期と重なり、心地よい遊歩道を抜けて次の目的地へ。

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一方、江津市総合市民センター〈ミルキーウェイ〉は、市民の日常をやさしく包み込む公共建築だ。

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象徴的な大屋根の下、ホールや市民スペースがゆるやかにつながり、人の気配が自然に重なっていく。
力強い造形でありながら、どこか安心感のある佇まいが印象的だった。

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天井に浮かぶ三つの丸い間接照明が空間にやさしいリズムを生み、人の流れと光を静かに受け止めている。

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中庭に面したサッシ越しの光が、内部と外部をやわらかくつなぎ、建築に静かな奥行きを与えていた。

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構造をそのまま表した鉄骨階段は、建築の力強さと緊張感を、日常の動線の中で感じさせてくれる。

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二つの建築に共通しているのは、空間に立った瞬間、身体に直接伝わってくる感覚があることだ。
建築家高松伸さんの建築は、その強さによって、場所の記憶を静かに刻み込んでいくように感じた。

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島根県江津市

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2025年12月 6日 (土)

町の時間に寄り添う建築 大社文化プレイスうらら館

出雲大社の門前町を歩いていると、町の流れに溶け込むようにして現れる建築がある。

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伊東豊雄設計の大社文化プレイスうらら館だ。

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強い造形で語るのではなく、人の営みを静かに受け止める佇まいが印象的だった。

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伊東豊雄の建築には、建築そのものよりも、人の気配や時間の重なりを大切にする姿勢がある。

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うらら館もまた、完成された形というより、使われ続けることで育っていく場のように感じられる。

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内部では、図書館やホールといった機能が明確に分けられず、空間がゆるやかにつながっている。

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視線は自然と流れ、気づけば少し長く滞在してしまう。

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光の扱いも控えめだ。

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時間とともに変化する自然光が、空間全体をやさしく包み込み、
訪れる人それぞれの過ごし方を受け入れている。

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神話の地・出雲という強い文脈の中で、
語りすぎない建築を選んだ伊東の姿勢が、
ここでは穏やかな居心地として伝わってきた。

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出雲市 大社文化プレイスうらら館

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2025年12月 5日 (金)

目的地へ向かう道すがら、ビッグハート出雲 出雲市役所

目的地へ向かう途中、少し寄り道をして二つの建築を。。

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ビッグハート出雲を訪れるのは、

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シーラカンス設計の岡山・吉備高原小学校、そして千葉・打瀬小学校を見学して以来、久しぶりになる。

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曲線的な空間とやわらかな光に包まれ、校舎を歩いたときの感覚がふとよみがえった。

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人の動きや居場所を自然に受け止める構成に、シーラカンス代表・小島さんらしい作品性を強く感じる。
公共施設でありながら、人の気配や体温が残る空間だ。

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一方、出雲市役所は日建設計らしい、活気と情報が行き交う建築だった。
明快な構成と引き締まった表情は、行政機能を一手に引き受ける拠点としての確かさを感じさせる。

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休日だったため内部には入らず、外から眺めるだけになったが、
その静けさの奥に、平日の慌ただしさや人の往来が自然と想像された。

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写っているのは建築だけではなく、その日に流れていた静かな時間だった。

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出雲市 ビッグハート出雲・出雲市役所

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2025年12月 3日 (水)

After the Exhibition — 雲間の夕色、宍道湖 島根県立美術館

After the Exhibition — 雲間の夕色、宍道湖 島根県立美術館
鳥取県立美術館を訪れたあと、その余韻を抱えたまま島根県立美術館へと向かった。

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同じ山陰にありながら、二つの美術館は、風景との距離の取り方が大きく異なっている。

鳥取県立美術館では、建築は前に出すぎることなく、周囲の環境を静かに受け止めていた。
光は均質に整えられ、展示室へと導く動線も穏やかだ。
鑑賞者は自然と気持ちを落ち着かせ、作品と向き合う準備を整えていく。
建築は自己主張を抑え、美術館という「器」としての役割を誠実に果たしているように感じられた。

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その体験を経て訪れた島根県立美術館は、より明確に風景へと開かれている。

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建築家菊竹清訓さんがここで意図したのは、建築を通して宍道湖の時間を内部へと引き込むことだったのだろう。

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湖に面した大きなガラス面は、展示を見る視線を外へと導き、美術鑑賞と日常風景とをゆるやかにつなぎとめている。

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夕刻、夕日百選にも選ばれている宍道湖のほとりに立った。

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この日は、沈みゆく太陽の姿は雲に隠れ、はっきりとした輪郭を見せることはなかった。
それでも、厚い雲の隙間からわずかなオレンジ色がこぼれ落ち、空と湖面に静かに滲んでいく。

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水面には細かな波が立ち、その一つひとつが淡い夕焼け色を砕きながら映し返していた。
劇的ではない夕暮れが、かえって一日の終わりを深く意識させる。

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館内に戻り、キッズコーナーでしばし足を止める。
そこに置かれていたのは、安野光雄さんの絵本『イタリアの陽ざし』。

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柔らかな色彩と静かな構図をページをめくりながら眺めていると、
先ほどまで見ていた宍道湖の風景と、不思議と感覚が重なってくる。
美術館が子どもだけでなく、
大人にも立ち止まる場所を用意していることが、ここでは自然に受け取れた。

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作品、風景、そしてささやかな読書の時間。鳥取で整えた心を携え、島根でゆっくりと一日を閉じていく。
その流れそのものが、建築体験として静かに記憶に残っている。

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島根県 島根県立美術館

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2025年12月 2日 (火)

大山の麓で、時間と再会する。。 植田正治写真美術館

大山の麓で、時間と再会する。。

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2010年に訪れて以来、15年ぶりに植田正治写真美術館を再訪した。

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1995年竣工の建物は、30年近い時間をまといながら、大山の麓に静かに佇んでいる。

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美術館へ向かう途中、正面に現れる大山の稜線は、当時の記憶と重なりながら、変わらぬ存在感を放っていた。

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設計を手がけた高松伸さんの建築は、

雄大な自然を背景にしながらも、決してそれに寄り添おうとはしないように感じる。

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量塊的なコンクリートの壁は、風景に溶け込むことを拒むように立ち、

あえて距離を保つことで、大山の広がりをより強く意識させているように感じます。

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建築と自然が拮抗するその関係性は、訪れるたびに新鮮な緊張を生み出している。

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館内に入ると、外の明るさは抑えられ、視線は壁や床によって静かに導かれていく。

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限られた開口部から差し込む光は、写真を見るための集中した時間をつくり出し、

ふとした瞬間に切り取られる大山の姿が、再び外の世界を思い出させる。

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30年という時間の経過は、建築の硬質さにわずかな柔らかさを与えている。

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コンクリートの表情や光の回り方は穏やかさを増し、

写真家植田正治さんの写真がもつ静けさと、より自然に響き合っているように感じられた。

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大山の変わらぬ風景と、時を重ねた建築。

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そのあいだを行き来する体験は、15年ぶりの再訪だからこそ得られた、静かな発見でした。



2025.11.08
島根県 植田正治写真美術館

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2010年5月4日掲載
トピックス-植田正治写真美術館-: コトフォトライフblog -2026-

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