港に降る、光と泡のクリスマス 神戸メリケンクリスマス2025
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五感で感じる劇場型アクアリウム、神戸・アトア。
館内には光と音、映像が静かに重なり、水槽はゆるやかに空間と溶け合っている。
泳ぐ魚たちは強く主張することなく、それぞれのリズムで、その場の時間をつくっていた。
揺れる尾びれが、水の中でひとつの線を描き、天女の姿をふと思わせる。
水槽内でターンしてました。
話しかけてきてるかのような愛くるしさ。
ひといきついてからの。。
カピバラやペンギン、ゾウガメもまた、
演出された空間の中で淡々と佇み、命の気配だけを残していく。
生きものと空間が並列に存在するその距離感が、アトアらしさなのかもしれない。
2025.12.20
神戸 atoa
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夢を結晶させた建築 ホテル川久
和歌山・南紀白浜に建つホテル川久。
初めて目にしたとき、その姿は周囲の風景から浮き上がるようで、少なからず戸惑いを覚えた。
海辺のリゾートに想像する軽やかさとは異なり、
そこに現れるのは、城のようでもあり、異国の宮殿のようでもある巨大な建築だ。
この建物を設計したのは、建築家・永田祐三。
1980年代後半、いわゆるバブル期に構想された川久は、
当時の日本が持っていた経済的な勢いと、「本物をつくる」という強い意志を、
そのまま建築として結晶させた存在でもある。
規模、素材、意匠、そのすべてが妥協なく積み重ねられている。
館内に足を踏み入れると、まず迎えるのが金箔天井のエントランスホールだ。
圧倒的な装飾性を持ちながら、不思議と下品さは感じない。
ここでは日常の尺度が一度解体され、別の時間軸へと誘われる。
大理石、ステンドグラス、重厚な柱や壁面装飾。それらは単なる贅沢ではなく、
「非日常」を成立させるための装置として丁寧に配置されている。
西洋の古典様式やイスラム的なモチーフ、日本的感覚までもが混在する空間構成は、
一見すると折衷的だが、全体としては強い統一感を保っている。
合理性や効率とは異なる価値軸で組み立てられた建築だからこそ、
今の時代に見ると新鮮に映る。
巨大なスケールを持ちながら、館内には視線の抜けや光の溜まりが巧みに設えられ、
人を過度に圧迫しない。
豪奢でありながら、どこか静かで、わずかな孤独を含んだ空気。
その複雑な表情こそが、ホテル川久という建築の奥行きなのだと思う。
時代の評価は変わっても、建築が放つ力は消えない。
ホテル川久は、過去の夢の象徴であると同時に、
今なお問いを投げかけ続ける建築だった。
2025.03.29
和歌山 ホテル川久 / 1993年村野藤吾賞
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岬に刻まれた思考 南方熊楠記念館
白浜の岬に建つ南方熊楠記念館を訪れた。
太平洋を見下ろすこの場所は、まず風景そのものの強さが印象に残る。
空と海が大きくひらけ、その縁に建築が置かれている、という感覚が強い。
現在の記念館は、本館と新館から構成されている。
設計は小嶋一浩+赤松佳珠子(CAt/シーラカンス・アンド・アソシエイツ)によるものだ。
地形に沿って伸びる有機的な形状は、この岬の起伏をそのまま建築化したかのようで、
風景と無理なく接続している。
岬に刻まれた思考 南方熊楠記念館
コンクリートの量感を持ちながらも、建物は決して重くない。
斜面に寄り添うように展開するヴォリュームは、海へ向かう視線を自然に導き、
歩くたびに景色が少しずつ変化する。
建築が眺望を「用意する」のではなく、
身体の移動とともに風景が立ち上がってくる構成だ。
内部に入ると、外の強い光は抑えられ、思考が内側へ向かう。
展示空間は落ち着いたスケールで整えられ、
南方熊楠の膨大な思索に向き合うための、静かな環境がつくられている。
外界から切り離されることで、かえって自然との関係を深く考えさせられる。
再び外へ出たとき、視界いっぱいに広がる太平洋が現れる。
その解放感は、建築によって一度絞り込まれていた分、
より強く記憶に残る。風景と建築、体験が一続きになった瞬間だった。
この新館は、建築家・小嶋一浩の遺作でもある。
自然と対峙しながらも支配しない姿勢、人工物としての輪郭を保ちながら風景に応答する態度。
その建築的思考が、この場所には静かに刻まれている。
2025.03.29
和歌山 南方熊楠記念館
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海と建築のあいだで 大阪府立青少年海洋センター
海沿いの道を進むと、不意に視界が開ける。訪れるまで、坂倉建築研究所の設計だとは知らなかった。
大阪府立青少年海洋センターは、大阪湾を望む岬の先に、驚くほど静かに建っていた。
まず心を奪われたのは、建物そのものよりも、海と空に溶け込む佇まいだった。
近づくにつれ、水平線と呼応するように伸びる低層のボリュームが見えてくる。
派手さはなく、むしろ控えめだ。
けれど、その抑制の効いた輪郭が、周囲の風景をいっそう際立たせている。
ここでは建築が主役になることを、意図的に避けているように思えた。
内部を歩くと、外との距離の近さに気づく。
大きな開口部から入り込む光、窓を抜ける風、遠くで重なる波の音。
建物の中にいながら、常に海の存在を感じさせる。
廊下を進むたび、視線の先に現れる風景が少しずつ変わり、
動線は明快で迷いがなく、それでいて息苦しさがない。
教育施設でありながら、どこか余白を大切にしている。
その余白が、訪れる者の記憶や感情を静かに受け止めてくれる。
高度経済成長期に生まれた建築であることを思うと、この穏やかさはなおさら印象深い。
自然と向き合い、集団生活を通して学ぶという理念が、今も建物の隅々に残っている。
岬の先で海を眺めながら、建築とは何かを改めて考えさせられた。
その姿勢こそが、この場所のいちばんの魅力なのだと思う。
2025.03.29
大阪府 大阪府立青少年海洋センター
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